当院では、乳腺専門医が、乳房のさまざまな症状(しこり、痛み、分泌など)や乳癌を中心とした乳腺疾患全般に対する診療を行っております。
女性の乳癌罹患数(乳癌であると診断される人の数)や乳癌罹患リスク(一生のうちに乳癌になる確率)は年々増加の一途をたどっています。
また、40歳から60歳に発見されることが多い乳癌ですが、近年は若年性乳癌や高齢者乳癌の患者さんも増え、『何歳でもなりうる癌』となってきました。(詳細は『乳癌について』をご覧ください。)
一方で、乳房・乳腺に生じる疾患としては良性の疾患も多いのですが、自分自身で良性なのか悪性なのかを判断するのは困難です。今までにはなかった乳房の症状に気が付いたら、「これって乳癌!?」と1人で悩まず、また周囲の情報に流されず、まずは当科にて専門医にご相談ください。
乳腺に炎症や細菌感染を起こし、赤く腫れたり、痛みや熱をもった状態です。授乳期におこることでよく知られていますが、授乳とは関係なくおこる場合もあります。主な乳腺炎について下記に紹介します。
授乳期に乳腺からの乳汁の流れが悪くなり、濃縮した乳汁の塊が乳管を閉塞し、その乳腺が腫れて痛い状態です。少し熱っぽく感じます。この時期であれば、授乳を続け、食事内容と十分な休養に注意をして生活し、適切な乳房マッサージや搾乳を行えば改善します。
急性うっ滞性乳腺炎が悪化し、乳房の一部や全体が腫れて、痛み、皮膚の発赤、発熱を伴った状態です。乳頭から細菌がはいって感染を起こしていることが多く、発熱や乳房の発赤・疼痛を認めます。抗生物質や消炎剤で治療し、膿がひどくたまっている場合(乳房膿瘍)には皮膚を切開して膿を出します。
乳頭から逆行した細菌によって感染を起こし、乳頭(乳輪)の下に膿が溜まってしまう状態です。
陥没乳頭が原因であることが多く、抗生物質による治療や切開を行っても再発・再燃を繰り返しやすいのが特徴です。治りにくい場合には、外科的手術を行うこともあります。
出産・授乳後5年以内の妊娠可能な年齢の女性に多い疾患で、乳腺の中に炎症が起こり、膿が溜まったり、硬くしこりの様になったりして、痛みを伴います。原因はよく分かっていませんが、自分の体の成分に対して異常な免疫反応が起こってしまう「自己免疫」が関与しているのではないかと言われています。炎症なのでがんに変化することはありませんが、マンモグラフィや超音波検査で乳がんとの区別が難しい時は、針で組織を採取して診断します。抗生剤は効かないことが多く、炎症を抑える作用のあるステロイドが有効です。治療に数カ月以上かかることや一旦良くなっても再発することがあります。
月経周期や体調・年齢変化などによる女性ホルモンの変化(体内バランス)に反応した乳腺が一時的に張ったり、硬くなったりすることで、自覚症状としてしこりや痛み・違和感を感じる状態を『乳腺症』と呼ぶことがあります。
厳密には乳腺症は病気ではなく、生理的な変化の一環と考えられており、治療の必要はありません。
20~30歳代の比較的若い女性に見られる、良性腫瘍です。皮膚の上からでも境界がわかるような、触れるとコロコロと動くしこり(2~3cm以下)であることが多く、通常は治療の必要はありません。
しかし、なかには3cmを超えて大きくなるものもあり、この場合には葉状腫瘍である可能性や美容面を考慮して、摘出手術を行うこともあります。
乳腺の細胞から発生する乳癌と異なり、葉状腫瘍は乳管と乳管のあいだにある間質(かんしつ)の細胞が増殖して腫瘍となったもので、良性~悪性があります。しこりが急速に大きくなることがあるのが特徴ですが、超音波検査などの画像検査では線維腺腫とよく似ており、鑑別が難しい場合があります。多くの場合は良性ですが、悪性の場合は再発や他の臓器への転移の可能性があります。
治療は手術による腫瘤の摘出が基本です。
外来診察室で、症状や既往歴・家族歴などを伺い、視触診をさせて頂きます。
心配な事や気になっている事などがあれば、お話しください。(診察の前にマンモグラフィー検査を受けて頂くこともあります。)
【乳癌の好発部位】
一番多いのは上外側(わきの下側)です。
乳腺専用のエックス線装置を使って撮影します。
検査室で、乳房や腋窩に超音波をあてて行う検査です。
視触診・マンモグラフィー検査・超音波検査などで、必要があると判断された方には病理学的検査(細胞診 ・ 組織診)を行います。
『乳癌』などの最終的な診断は、病理学的診断により確定します。
必要に応じて、CT検査やMRI検査などを行うこともあります。
乳腺外来で行う診察や検査に関しましては、その必要性や方法などについて必ず事前に ご説明させて頂きます。
不安な事やわからない事がある場合には、いつでも医師や看護師にご質問ください。